小説家になろう
超空陽天楼
ニッセルツ奪還
ニッセルツ上空第二次空戦

 《ネメシエル》の上甲板に多数設けられた巨大な砲塔が旋回して、六連装の砲身がぐいっと身をもたげる。
オレンジ色を孕み、シャッターが開いた砲門が輝く。
五一センチの口径を持つ砲身が睨む先には黒い点のような敵の艦隊の姿があった。
距離はおよそ千五百。

「撃ち方、はじめてください!」

 蒼の号令と同時に《ネメシエル》の砲門から大量のオレンジ色の光が放たれた。
発砲の反動で、《ネメシエル》の巨体が少し傾き、船体の金属が軋む。
 金属をこすり合わせ、火花を散らすギアが回転して動く《ネメシエル》の甲板上の砲塔は各自しっかりと敵を追尾し続ける。
続いて放たれた第二斉射は艦底からだった。
甲板と艦底両方から放たれた大量の光が目をくらます勢いで首をもたげ噛みつこうとする。

『《アルズス》!
 撃ち方はじめっすよ!
 とことんまで撃ち尽くすっす!』

(分かったよ、お兄ちゃんっ)

 気の抜けるような応答の後、《アルズス》も《ネメシエル》に続いて敵へと己が持つ破壊の力を放った。
白い反動光が砲門の周りに何本も輪のように並び、その輪を通って熱を持ち加速してゆくオレンジ色の光が敵へと延びる。
百を超える“光波共震砲”の力が敵の艦隊へ牙をむいた。
飛んできた死の塊に《シーニザーの戦艦》は慌てふためき、それぞれ思う方向に回避を始める。
実戦にはあまり慣れていなかったのだろう。

【っ!!
 来たぞ避けろ!!】

【高度八千まで急上昇します!】

【バカ野郎、そっちに行くんじゃねぇ!】

 綺麗な艦隊姿が崩れ去りぼろが出始める。
敵の無線を聞きながら蒼は“パンソロジーレーダー”に映る敵の姿を確認した。
“パンソロジーレーダー”に映っているものは戦艦級が三隻、巡洋艦級が八隻、駆逐艦級が一二隻の大艦隊。
 普通ならば肝をつぶして逃げるほどの大戦力。
士官学校でたった二隻で挑むなど、試験で書いたら間違いなくバツをもらうだろう。
だが、蒼には自信があった。
全てを叩き落し、祖国の地を取り返す自信が。
大艦隊のど真ん中へ“光波共震砲”のオレンジ色の光が己の力を持って突っ込んだ。

【避けろ!】

【っ!?
 や、し、死にたくな――】

 先頭などの動きがよかった艦艇は光を避けることに成功したが艦隊の最後を航行していた三隻の駆逐艦はオレンジ色の光に巻き込まれる。
展開されていたバリアを突き破り、“光波共震砲”の光が三隻を射抜いた。
まるで銃に撃たれた鳥のように、散る羽のとなった部品がぱらぱらと船体から剥離し空に散らばる。
右舷から入ったレーザーは機関室を焼き、バラストタンクを崩壊させる。
焼けた配線が誤作動を誘発し、さらにバランスを崩した艦が傾きはじめる。
十万度を超える熱が内部構造を破壊し尽すと左舷装甲を溶かし、レーザーは空へと抜けて行った。


     

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