第三章 王の希望
「よくやってくれた」
いつもの広場の噴水。そこにアフィンとマクルスは仲良く待っていた。
辺りには真夜中のせいか、人っ子一人いない。
簡単な回復なら出来るよ、と自信満々に答えたアフィンが隣でロフティの傷の手当てをしている。
何やら禍々しい空気が流れているけど……。『ロフティ、ゾンビで復活』とかになったら恐いぞ。
「で、ガリアスの言った言葉だな……」
「マクルスさんは知っているのか? ガリアスの親父が誰なのか」
考え込んでいるマクルスに俺は聞いた。
「アラーム軍の軍事参謀長……それが今の奴の肩書きだ……」
ロフティの回復が終わったのか、アフィンが会話に入り込もうとしている。辺りに充満していた異様な雰囲気はいつの間にか消え、ロフティは無事に人間として復活したようだ。
「ガリアスさんのお父さんって、マクルスさんの知り合いなんですかぁ?」
相変わらずの気の抜けた声でアフィンが聞いた。
「ふむ……。昔、奴とワシはアラーム騎士団の双龍と呼ばれてな。数々の戦場を二人で渡り歩いたもんだ」
遠い目をしながら、マクルスが思い出すように話し始めた。
ガリアスの親父の名前はガル。マクルスと同じホビット族らしい。という事は、その息子であるガリアスの背が極端に低いのも頷ける。
そして、マクルスが若い頃、ガルと二人で作ってもらった剣がキング・オブ・ジェミニという事だった。今はガリアスが一人で二本使っているが、昔は一本ずつ、マクルスとガルが使用していたらしい。
それから何年かが経ち騎士団を引退する時、ガルは王宮に残り、マクルスは町で武器屋を始めた。
キング・オブ・ジェミニは二本とも王宮に残ったガルのものとなった。
それから、二十五年……。
「大体事情は分かった。で、どうするんだ?」
俺は話し終わって一息ついているマクルスに聞いた。
「黒幕が分かったところでワシの目的は変わらん。早速、ホープキング山の牢屋目指して出発しよう!」
夜の森をひたすら駆け抜ける黒い馬車。
俺は居心地の悪い荷台で揺られていた。広場の時計で二十二時だったのを確認したのが最後だ。今は何時なのだろう。
木々の間から見える三日月がこれからの出来事を嘲笑っているかのようだ。
馬車はホープキング山にあると言われている牢獄目指して一直線に突き進んでいた。
深夜の森にはモンスターが多く出没する。俺は荷台から外の様子を窺い、馬車を襲おうと近づいてくるモンスターをネマーとネカーで撃退していた。
時折馬車の前からは異様な空気が流れ、暫くするとモンスターの断末魔が聞こえてくる。恐らくアフィンが不気味な術でモンスターを蹴散らしているのだろう。あまり想像はしたくない。
唯一遠距離攻撃の出来ないロフティは、馬の手綱を握り馬車を操っている。
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