第二章 呪いの剣
今は春だったが、サイバーの小屋の裏にある洞窟の中は冬のようにヒンヤリとしている。
俺達は、残党がいる可能性があるため慎重に行動していたが、特に敵は襲ってこなかった。
目の前にはサイバーの作成した武具が収められていると思われる倉庫の扉がある。
俺は何があるか分からない扉を丹念に確認して、鍵を開けた。
「おお……」
俺は思わず声を上げてしまった。倉庫の中には、これから魔族に手渡される予定であろう武器や防具がぎっしりと詰まっていたからだ。
俺は眼を輝かしながら、沢山の武器・防具を眺めていた。
「これらの武具は処分しなくちゃ駄目だね」
秋留が信じられない事を言った。
「な、なんでだよ? そんなの勿体ないってば!」
俺は必死に訴えかけたが「魔族お抱えの鍛冶屋サイバーを倒し、魔族の戦力を削ぐ事」が依頼の内容だから、サイバーが作成した武具も処分する必要があると言うのだ。
「なぁ〜、頼むよ。一本くらい、いいじゃんかぁ〜?」
俺は秋留の傍にひざまづいて懇願した。
「ブレイブ! てめぇ、また金のために眼が眩んでやがるなぁ!」
カリューは顔を赤くして怒ったが、物を粗末にしたら罰が当たると子供の頃から教育されてきた俺には、処分なんて勿体ない事が出来るはずもない。
十分程粘ったすえ、呆れ返ったカリューと秋留が一本だけ拝借する事を許してくれた。
俺が剣を物色している間は、秋留の持つインスペクターには違う方向を向いてもらった。
どれもこれも逸品揃いだ。中には黄金色に輝く剣もあって迷ってしまうが、俺は一本だけ赤い台座の上に置かれていた真っ黒な剣を選んだ。
俺が選んだ黒い剣以外の武具はカリューとジェットが倉庫から運びだし、サイバーの小屋で未だに熱せられている炉の中に放り込んでいった。
サイバーの倉庫は綺麗さっぱり、武具が片付けられてしまった。
俺達はサイバーの小屋近くの広場でドル村へ戻るための準備を始めた。
村長のダイツにも仇を取った事を伝えなくてはならない。もしかしたらお礼をくれるかもしれないが、あの寂れた村には何もないだろう。
少し離れた森の陰から煙が出ているのが見える。
サイバーの小屋の煙突から出ている煙だろう。カリュー達が鍛冶屋の真っ赤に燃え盛る炉につっこんだ武具が溶かされている最中だ。
今から戻れば間に合うかもしれないが、俺が変な気を起さないように、秋留に忠実なジェットがしっかりと見守っている。
準備を終えた俺は、今回の戦利品である黒い剣を取り出し眺めた。
俺が唯一手に入れる事に成功した黒い剣は、重さがほとんどなく、太陽の光を浴びて刀身が光り輝いている。
しかし見た目の美しさとは裏腹に、どこか禍々しい感じがするのは気のせいだろうか。
俺が惚れ惚れと剣を眺めていると、突然目の前の剣を誰かに取り上げられた。
「ちょっと貸せ、ブレイブ!」
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