小説家になろう
盗賊ブレイブ@勇者パーティー御一行様
第三章 困惑

 昨日までの雨もすっかり止み、今日は雲一つない青空だ。
 俺達パーティーはアステカ大陸にあるガイア教会本部のアース・プレイヤ教会へ行くためワンドナを更に南下し、同じ大陸にある港町ヤードを目指して今は深い森を歩いている最中だ。
「それにしてもさぁ、間抜けな話だよな〜」
 俺は秋留に話し掛けた。
「ん? 何が?」
 秋留が黒い瞳で俺を見つめながら答えた。
 俺は少し照れながら言った。
「だってさ、この世界のどこに、禍禍しい呪われた剣を装備した勇者がいると思う?」
 俺達はカリューの剣の呪いを解くために、アース・プレイヤ教会を目指しているのだ。
 ワンドナを出発してから、今、俺達が歩いている森に到着するまで、半月程かかってしまった。
 カリューの持つ魔剣の効果で呼び寄せられたモンスターを倒しつつ旅を続けていたからだ。
 前を黙々と歩いていたカリューが振り向いた。
「元はと言えば、ブレイブ! お前が暗黒騎士ケルベロスからこんな剣を盗むからいけないんだろう?」
 確かに剣を拝借したのは俺だったが、カリューが俺から剣を奪い取らなければ呪われる事もなかったはずだ。
 反論しようとした俺を隣の秋留が眼で制した。今はカリューに口答えしない方が良さそうだ。
 それから特に話す事もなく黙々と歩いていると、いつの間にか森の中は薄暗くなって来ていた。
 さっきまで空には太陽が出ており暖かな空気が流れていたのが、今は涼しげな空気へと変わっている。
 その時、前方を先行して探索していたジェットが銀星に乗って戻ってきた。
「まだまだ森は抜けられそうにありませんな。少々危険ですが、今日はこの辺で野宿しといた方が良さそうですぞ」
 俺達は早速、野営の準備を始めた。
 この森に入る事が決まった時に馬車は売り払っていた。今は銀星とアルフレッドにテントや雑貨等を紐でくくり付けている状態だ。
 不思議な事に森を歩いていた時に獣に襲われたりしなかったため、今日のメニューは木に生っている果物を食べる事になった。
 モンスターの一匹や二匹位襲って来てくれれば、その場で捌いて今夜のおかずになったのだが……。育ち盛りの俺としては肉を食べたかったが我慢するしかなさそうだ。
 今日のメニューは森に必ずと言っていい程生息している野イチゴと、高い木に生っているリンゴに似た果物、ワッカだ。
 ワッカは見た目こそリンゴのようだが、その果汁はトロリと甘く疲れを癒してくれる。
 俺は適当なサイズの小石を探し、木の上の方に生っているワッカ目掛けて投げた。
 普段ネカー&ネマーで慣らしているだけあって、小石は百発百中でワッカに命中した。
 俺は落ちてくるワッカをキャッチし、調理担当の秋留へ渡した。
 飛び道具が得意ではないカリューはチマチマと茂みを漁り、野イチゴを採っていた。


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