小説家になろう
盗賊ブレイブ@獣ウィルス蔓延中
第三章 地下洞窟

 あの人口の通路から歩き始めて何回目だろうか。俺の後方で再び爆発音が聞こえた。
「あ〜クロノ! また罠を踏んだニャン!」
 シャインが自分の罪をクロノに着せる。煙の中からは身体のあちこちが欠けたジェットが出てきた。その欠けた部分はミミズが這い回る様に自然修復されていく。
「さっきから痛いですぞ!」
 いくら不死身のジェットでも、いい加減うんざりしてきた様だ。
 シャインとクロノはジェットの不死身っぷりが面白いらしくて、わざと罠を踏んでいる様だ。ゾンビと言えども痛みを感じているという事を、二人はまだ分かっていない。
「シャイン! クロノ! あんまりふざけてると魔法で吹っ飛ばすよ!」
 秋留が二匹の獣人を叱った。さっきからシャインとクロノは辺りを飛び跳ねているからだ。パーティーに加えた事を後悔しているのだろうか?
 しかし、どこか秋留も楽しそうだ。
 隣には「滝はまだか」と何回も聞いてくるカリューがいる。俺の耳には滝が流れる豪快な音などは全く聞こえてこない。
「お! 敵だニャ!」
 これも先程から何回か繰り返されてきた事だ。シャインとクロノはモンスターを見つけると、まるで遊んでいるかの様に戦闘を始める。
 弱気でのん気なクロノと強気でお嬢様気質のシャイン。まるで正反対の性格の二人がピッタリと合った呼吸で出現したモンスターを即行で倒していく。
「実際凄いもんだな」
 カリューが二人の戦闘を見ながら関心して呟いた。
「さっき聞いたんだが、シャインとクロノのレベルは七とか八らしい」
 カリューの今のレベルが四十二だから数値的に見ると到底敵うようなレベルの差ではない。カリューとの戦闘を考えると、なかなか良い線をいっていた様に見える。
「二人の息がピッタリなら、その力は足し算ではなく掛け算になるという事かな」
 俺は頭に思い浮かんだ格好良い台詞を秋留に聞こえるように少し大きめの声で言った。
「ガウウウウウ……」
 俺の声に反応する様に、洞窟の奥から灰色の身体をした熊の様なモンスターが現れた。
「ブレイブ! 大きい声出しすぎだよ!」
 うっ、秋留に注意されてしまった。
 再びシャインとクロノは喜びの声を発しながら灰色熊モンスターに攻撃を仕掛けた。シャインが右手を灰色熊に繰り出す。しかしその攻撃がまるで水を切るかの様に身体の中をすり抜けた。
「フニャーーー!」
 シャインが灰色熊の体の中をすり抜けた右腕を叫び声と共に素早く引き抜く。その腕からは白い煙が上がっている。
 それを見たクロノは、足元にあった岩を熊の顔面に蹴りつけた。顔面へ飛んで行った岩が体内に取り込まれて一瞬の内に溶かされる。
 その間にクロノはシャインを抱きかかえて熊の目の前から離脱する。そして少し離れた所に着地すると手早く回復魔法を唱え始めた。
 俺は松明を熊の前方に落とした。

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