第五章 獣使い
優しく暖かい光が俺を包んでいるのが分かった。
まるで女神に抱擁されているかのようだ。
「ぬおおおおおお」
俺の声ではない。何か傷みを堪えているかのような叫び声。
そんな声は放っておいて、俺は心地よい感触に酔いしれていた。
これはきっと、秋留が俺の頭を膝枕で支えてくれているに違いない。そして優しく回復魔法をかけてくれているに違いない。
「ふんんんぬううううう……」
またしても汚い声。
俺の幸せな時間を奪うのは何者だ。
俺は仕方なく眼を開いた。
「……」
目の前には顔中に冷や汗を垂らして身体中から煙を発しているジェットがいた。
「あ! ブレイブ、気付いたみたいだよ!」
頭に響く高い声はクリアだろう。
「大量に出血してたから心配しちゃったよね」
これもクリア。
「まぁ、ブレイブの生命力はゴキちゃん並だからね」
俺は黒くて素早いあいつみたいな生命力はない。ゴキちゃん並の生命力と言ったらカリューだろう。あ、でも黒くて素早いのは俺も一緒か、と一人で苦笑いをする。
「ありがとう、ジェット。回復はもういいや」
半分投げやりな気持ちでジェットに言う。
秋留が回復してくれてると思ったけど、どうやら秋留では手に負えない程の傷だったようだ。
ちなみにジェットは聖騎士のため、回復を主とした神聖魔法を唱える事が出来るのだ。逆に秋留は神聖魔法は唱える事が出来ないため、あまり大掛かりな回復を行う事は出来ない。
「ふうううう。それは良かったですじゃ」
ジェットが肩の力を抜いた。
補足しておくと、神聖魔法を唱えようとした人が顔一杯に汗を滴らせたり、身体から不気味な湯気を発したりすることは勿論ない。
ジェットは死人だ。
神聖という言葉からは大分かけ離れている。
そのせいだろう。ジェットは神聖魔法を唱えようとすると身体が拒否反応を起こす。だから余程の事がない限りはジェットが神聖魔法を唱える事はない。
「あのあと大爆発があって、レッジャーノ邸の庭やら門は全て吹き飛んだわ」
秋留が驚く事をさらりと言う。
ふと気付いて辺りを見渡した。
豪華な調度品があるところを見ると、レッジャーノ邸の専用の病室のようだ。
近くの窓から外を覗くと……確かに庭がほぼ全壊している。
「煙に巻かれている間にガロンとボックス? には逃げられたわ」
すぐにでも出かけるつもりだろう。秋留が気合を入れて立ち上がった。
「カリューもいつの間にか姿を消していた。今から港に行くよ」
「ああ。海賊共をタコ殴りにしてカリューを正気に戻さないとな」
外の景色から視線を戻して俺も立ち上がる。身体中がまだ痛いが我がままは言ってられない。
「レッド・ツイスターの皆さん」
今まで気付かなかったが、傍にはパルメザンが立っていたようだ。以前怒っていた時とは打って変わって、
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