第三章 妖精狩り
「……」
俺達の野営地では、妖精達がワイワイと食事をしている所だ。俺はそれを黙って睨みつけている最中だ。
ヴィーンを出発してからというもの、毎日のようにミルクタウンから逃げてきた妖精の一団に出くわし、食事を分け与えている。
まるで妖精達のお守りをしているようだ。
「食料が厳しくなってきましたぞ」
ジェットが荷馬車を覗き込んで嘆いた。途中で襲ってきたモンスターの肉なども保存食にして持ち歩いてはいるのだが、日に日に増える妖精の一団に食料が追いついてこない。
今、食わしてやってる妖精団は十人もの大規模だ。もうミルクタウンの裏路地やら丸秘料理など、隅々の情報を教えてもらっている。
「この子の知り合いにね〜」
頭に団子をつけた団子妖精が、知りたくも無い情報を食事の御礼にと必死に説明してくれている。
それを黙って聞いている秋留、クリア、ルンの三人もウンザリとした顔を隠せない。
「何とか明後日にはミルクタウンに辿り付けそうなので……ギリギリですな」
それはこれ以上、妖精団が増えなければの話だろうな。
こいつら、妖精同士で示し合わせて俺達をカモにしているのではないだろうか。有り得る。妖精には何度も悩まされているからなぁ。
そして次の日、案の定、俺達の野営地に昨日の倍はありそうな妖精団がやってきた。それだけミルクタウンから脱出して来ている妖精達がいるという事だろうか。
「ごめん、それは知らないや」
「うん、分からない」
「知らにゃーい!」
「それ、何の話?」
妖精狩りの人相は未だに分からない。どの妖精達も俺達から奪っていくだけで大したものは与えてくれない。中には珍しいアイテムをくれる妖精もいるのだが、ほんの僅かだ。
というか、逃げてきている妖精の中には事情の分かっていない奴が結構いるという事が最近分かりだした。
「まるで小さな村が出来たみたいだね」
さすがの秋留も少し呆れているようだ。
「……こんな変な妖精ばっかりじゃないからね、誤解しないでよ?」
ルンが必死に弁解しているが、本人だって十分変人な事を分かっていないらしい。
「そろそろ寝てしまいますかな? 明日早く出発すれば日のあるうちにミルクタウンに到着出来そうですぞ……」
ジェットが眠そうに言っている。半分寝ているといっても良いかもしれない。……いや、死人だから起きているというのはおかしい気がする。
「頭が痛いのですか? お嬢様用に常備している頭痛薬などいかがですか?」
どの妖精に対しても腰の低いシープットが話しかけてきた。どうやら頭をかかえて悩んでいたようだ。この大陸に来てから精神がおかしくなってしまったのかもしれない。
「執事さ〜ん、お茶〜」
「はいはい、ただいま」
アフロの妖精に言われてシープットがお茶を持っていった。腰が低いせいで妖精に良いように使われている。
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