小説家になろう
四精霊の伝説
第3部 動き始めた伝説
炎 の 扉 II

(1)

 バート、リィル、キリア、サラ、エニィルの五人は、ピアンとキグリスの国境、ピラキア山の『大精霊”ホノオ”の眠る地』に来ていた。切り立った高い崖の岩肌に、金属製の古びた『扉』がはめ込まれている。バートが取っ手を握って手前に引くと、扉はあっさりと動いた。しかし、この扉は、キリアとリィルとサラには動かせなかった扉だった。バートだけが開けられる扉なのだ。
 バートは手を離して振り返った。視線の先――キリア、リィル、サラの少し前には、黒いスーツを着た男性――リィルの父エニィルが立っている。
「すごいなあ」
 エニィルは穏やかな調子で呟いた。
「そうか? 別に俺、大したことやってねーけど……」
 バートは複雑な表情になって首を傾げる。
「じゃあ入ろうか、バート君」
 エニィルはバートに声をかけた。振り返って、「君達はどうする?」と、キリアたち三人にも問いかけてくる。
「もちろん入ります」
「私も」
 サラに被せるようにキリアの声が重なった。思わず二人で顔を見合わせて、軽くうなずきあう。
「リィルは?」
 キリアはリィルに尋ねてみた。以前ここに来たとき、彼は扉の中に入ることを躊躇し、結局入らなかったのだ。
「俺は……」
 リィルが言いかけたとき、エニィルが掲げた右手の指をぱちん、と鳴らした。その指の先の虚空が青く輝き始め、集まった光が次第に何かを形作る。そして、それは一羽の青い小鳥となった。その「不意打ち」には、キリアはびっくりして息を呑んで見守るしかなかった。青い小鳥は羽ばたいてエニィルの手を離れ、リィルの肩に下り立った。
「これで大丈夫」エニィルは息子に微笑んだ。
「また置いてきぼりは嫌だろう?」
「すっごー……い……。手品みたい……!」
 サラが感動の呟きを漏らした。
「でも、本当に大丈夫なの、これで……」
 キリアはリィルの肩の青い小鳥にそっと手を伸ばした。青い小鳥はひんやりとした空気をまとっている。触れたら飛び立ってしまいそうで、それ以上は近づけない。
「父さんが言うんなら、大丈夫だよ」
 リィルは自信を持って答えた。
 バートを先頭に、エニィル、サラ、キリア、リィルの順で扉の中に入り、通路を進んでいった。先頭のバートがランプを掲げて歩いた。前のときと同じで、中は凄い熱気だった。だんだん汗が吹き出てくる。
「リィル、大丈夫か?」
 先頭のバートが後ろに向けて問いかけた。
「なんとか」リィルは短く答えた。
 しばらく進むと、通路は行き止まりになっていた。さっきと同じような金属製の扉に行く手を阻まれている。バートは手を伸ばしてその扉を開けた。やはりあっさりと扉は開いた。
 途端に通路がまぶしい光に照らし出された。扉の向こうは明るかった。
 そこは、四方を石の壁に囲まれた「部屋」だった。高い石の壁にはぎっしりと「文字」
     

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