小説家になろう
四精霊の伝説
第3部 動き始めた伝説
d e p t h

(1)

 バートとキリアとリィルとサラの四人は乗用陸鳥ヴェクタに乗ってコリンズを出た。エニィルが四人の前から姿を消してから丸一日が過ぎた朝だった。国境を越えてキグリス王国に入り、南東を目指す。国境を越えてまっすぐに南を目指せばキグリス首都なのだが、首都に寄ってからでは遠回りになる。目指す目的地は首都の東にある、ツバル洞窟と呼ばれる地下洞窟だった。
「やっぱり、最後の扉はこのへんにあったのね」
 キリアは地図を広げ、ツバル洞窟のあたりを指さして言った。
「やっぱりって?」とバート。
「ほら、ここがキグリス首都でしょ」
 キリアはパファック大陸の中央を指さした。
「ここが炎の扉、ここが大賢者の塔、ここがコリンズ」
「おおー」
 バートは声を上げた。土火風水、それぞれの”大精霊”が眠る扉は、キグリス首都からちょうど東南西北に同じ距離だけ進んだ地点にあった。土火風水の扉を線で結ぶと大陸に巨大な正方形がえがかれ、その中心にキグリス首都がある。
「正確に正方形だね。これはきっと偶然じゃないな」
 リィルが感心した。
「んで、いよいよ最後の大精霊、ってわけか」
 バートはサラを見た。
「エニィルさんが言っていたけれど……」
 バートに見つめられてサラは口を開いた。
「”陸土リクト”を得るにはあたしが必要って、どういうことなのかしら。まだ鍵も持っていない状態で、扉に行って大丈夫なのかしら」
「でもエニィルさんは鍵に関わるって言ってたわね」とキリア。
「案外、サラがもう持ってたりして。最初に炎の扉を開けたときだって、まさかバートの剣が鍵だったなんて思ってもみなかったんだし」
「とにかく、行ってみて開けてみりゃわかるんじゃねーか? サラが開けられりゃあ持ってたってことだろ」
「そうね、大地の扉に行ってみるしかないわね。色々不安だけど……エニィルさんいなくなっちゃったし」
「エニィルさん、一体、どうしちまったんだろうな」
「よほどのことがない限り、大精霊の力を三つも手に入れてしまった私たち四人を置いて消えちゃうなんて……」
 キリアたちは大精霊についてはほとんど何もわかっていなかった。全てを知っているようなエニィルが同行していたので、大精霊のことは全て彼に任せてしまっていたのだ。まさか、四大精霊の力を得る旅の途中で、こんな風にエニィルが姿を消すなんて考えてもみなかったのだ。エニィルがいなくなって、これからどうすれば良いのか、キリアたちは途方に暮れた。
 エニィルが消えてしまって戻ってこない。これは四人に突き付けられた動かせない事実。その意味を考えてみよう、とリィルは言った。
 エニィルが消えてしまった日の朝、リィルが帰って来た。ちょうどリィルを探しに宿屋を出ようとしていた三人と鉢合わせした。
「リィル!」
「リィルちゃん! 無事だったのね!」

     

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