小説家になろう
四精霊の伝説
第2部 つかの間の交叉
ま た 、会 え る の ?

(1)

 王子たちと別れて、バートたち四人は丸一日、乗用陸鳥(ヴェクタ)を走らせていた。食事はヴェクタの上でとり、夜はヴェクタを走らせながら交代で眠った。交わす言葉はほとんど無かった。
(くそっ、なんでこんなことに……!)
 もし、あのとき。とバートは思う。ピラキア山脈で「大精霊”ホノオ”」を見た後、すぐにピアンに戻っていれば――。
 サラがキグリス首都に行きたがっていたから、というのは言い訳だ。あのとき、自分はピアン首都に帰りたくなかったのだ。ピアン首都に帰るのを先延ばしにしたかったのだ。
 ピアン首都にはバートの母がいた。母は無事だろうか。首都のみんなは……。父親は首都襲撃に参加したのだろうか。もし、そうだったとしたら。自分はどんな顔をしてピアン王やピアンのみんなに会えば良いのだろうか。
 ピアンには一刻も早く帰りたいが、現実と向き合うのも、正直……怖い。それでも今は、ピアンに帰りたくないなんて言っていられない。一刻も早くピアンに帰ること。それだけを考えて、バートは乗用陸鳥ヴェクタを駆った。

 *

 ピラキア山脈のふもとの村、ギールには朝着いた。キリアの知り合いサイナスの家に二泊して、楽しい時間を過ごした村だった。四人は特に何も言葉を交わさず、ギールの村を抜けてピラキア山脈方面出口に向かった。
 村の出口にはサイナスが立っていた。
「サイナスさん」キリアが口を開く。
「ギリギリ間に合ったか……」サイナスはふうと息をついた。
「ピアンのことは聞いてる。リネッタが心配してた。寄らずに素通りしてっちゃうんじゃないかって」
「……ごめんなさい」キリアは力なく言った。
「リネッタが家で待ってる。寄ってやってくれないか」
「でも……あまり長居は」
「リネッタもそんなに長く引き止めないから」とサイナスは言う。
「あ、直接俺の家に向かったってことにしといてやるから。俺とはここで会わなかったと」
「……はい」
 キリアは乗用陸鳥ヴェクタを方向転換させ、振り返ってサイナスを見た。
「サイナスさんは、」
「ここで待ってる。ピアン行くとき、ここ通るだろ。お別れはそのときに……リネッタともな」
「……はい」
 四人はサイナスの家に向かった。呼び鈴を鳴らすと、すぐにリネッタが出てきた。
「寄ってくれてありがとう」
 とリネッタは言った。リネッタは外出着を着ていて、玄関には何故か大きな背負袋リュックサックが置いてあった。
「大変なことに、なっちゃったね。何て言ったら良いかわからないけど……。あのね、ひとつお願いがあるの」
 とリネッタは言った。
「わたしもリンツに行こうと思ってるんだけど、一緒に、良いかな?」
「……リネッタが、リンツに?」キリアが驚きの声を上げる。
「なんでまた?」
     

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