小説家になろう
“Galactic ILLUSION” (銀河幻想) The ORPAHN Ⅲ
◆Lyric 001◆招待者の名は
010 /『王冠』たる所以
ギャラクシアン、と呼んだ。
本来ならば知る由も無い。
このような場所に呼ばれ、このような事由に会い、されば何故に彼らに結びつくというのであろうか。
いま此処に居る彼らは、果たして陰に聞くものたちなのか。
なんの
忌憚
(
きたん
)
も疑念も無く、カロルシアは口にしたと言うのに。
室内は広く黒く、暗かった。ありとあらゆる装飾を廃し、直線のみで構成された大広間。
幾つかの白く小さい光源が星のようにも見える高い天井、深奥にあるとは言え、すぐ外は宇宙空間であるかのような錯覚に陥りそうであった。
確かに、この異空間は宇宙ではあるのだが。
哲学的音律が奏でられているような、異端の冷たい空気の中に再び低く声が響いた。
「着くが良い」
彼らのテーブル手前に、口をあけて待つカプセル・シートがあった。幅広の数段の階段を上がり、中に入って着席するとカプセル内だけライトが点いて、白光に包まれカロルシアは完全に外が見えなくなる。
しかし彼らの、叡智をも超えた異様な視線が、自分の肌に突き刺さるのは感じていた。
「―――では召致の理由は」
歓待も前置きもなく、ギャラクシアンは言を継ぐ。
再度言うが、余計なものなどこの空間には必要ないのである。
「………今しがた……」カロルシアにも、余計な緊張感など無かった。「……ユーデリウス公は黙したままで―――レディ・ルイーザはここに」
来た路での出来事を見たままに言う。
僅かに、“シェーデの間”の空気が動いた。
「……両方が視得たと言うか…。しかし、ユーデリウスは必ずや語る」
別の声が
相槌
(
あいづち
)
を打つ。
「ふむ……過去に視てはいても、ユーデリウスの言質を直接受けたものは少ないが――
お前
(
カロルシア
)
は視えていたのだな?」
「私は、問いました」
「―――珍しい。聴く耳を持たぬ太祖に」
思い違いかもしれないが、微かに、ほんの微かに笑いが含まれた気がした。
「ルイーザが共に無いのは、何故かと」
カロルシアは、ユーデリウスに問うた事を再度、口にしてみた。
「ルイーザは、帝政の骨に過ぎぬ」
ギャラクシアンの一人は、ギャラクシアン・グループ創設の祖と云われるルイーザを、簡単に言ってのけた。
「しかしルイーザは訪れていたのに、誰も受けないのです」
カロルシアは食い下がった。
「お前はどのように受けたと?」
「あまりに隔絶された世界から私に先を示されたのです。それなのにどなたも歓迎の意思を表してはおりませんでした」
光と水が流れる漆黒の空間で、立ち並ぶ歴代皇帝の口に灯された沈黙の言葉の端々を、カロルシアは耳にしていたかのように言った。
「言うたであろう。ルイーザは骨に過ぎず、ユーデリウスは血肉に過ぎない。我々は、その体内に寄生する虫」
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