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“Galactic ILLUSION” (銀河幻想) The ORPAHN Ⅲ
◆Lyric 001◆招待者の名は
006  /[TAKE 3] 蠢動



 グランス・タスカーは今年で四十一歳になる、ルードニース帝のIMSである。

 太祖ユーデリウス大公の腹心であるグランス・ラング=ライと奇しくも同じ名前を戴き、同様の立場にもあるわけだが、やはりそこは時代が違うだけ事情が少々異なる。

 現皇帝ルードニースの前のカイル公在位時より、次期皇帝の呼び名が高かった人物である。しかしギャラクシアンが選定したのはルードニースであった。

 本人にはそのような野心も欲望も無かったが、皮肉にも大衆が持ち上げた勝手な人望は、彼の評判を幾分落とすのに役立ってしまった。

 結局ルードニースのIMSという身分に収まったものの、同期のIMSに決まっていたヨーイン・アレクラの亡命騒ぎが、一部の政治家たち政治活動のためグランスの忠誠心を疑い利用しようとする。
――これは「大気圏に突入し燃え尽きたチリ以下の話」とギャラクシアンの一笑に掻き消えたと言われる。

 幸い、彼はくだらぬ世間話に煽られるような男ではなかった。それがIMSたる職務に在る者であり、IMSとしての仕事をこなし、ルードニースをよく補佐した。

 今更ながら、こうしてみれば彼は、皇帝と言う地位ではそのキャラクターを発揮できないと言うのが良く理解できる。俗世っぽく簡単に言えば「器ではない」のだ。



 
 
 
「――……カロルシアが、か?」

 帝政共同体首都星ルエラ中央都市キシュトワル上空、太目の眉の下に温和そうな瞳に藍の色を浮かべて、彼は久しぶりにレイゼンと会っていた。

 IMSの制服では目立ちすぎるので、通常の帝政軍の簡易制服を着用している。そうすると少し貫禄のついた下士官のようにも見えるから、人とは不思議なものだ。―――ただし、近衛府の護衛つきで。

 向かって座ろうとした青年は、知性を(たた)えたやや冷たい横顔で相槌をうった。

 薄茶色の髪と瞳が、凍ったような美しい旋律で人格を醸し出す。 

「先程サンド・ルーヴェから…もうすぐ到着するでしょう」

「陛下はまだ退位を示しておられないが――ありうるか、レイゼン」

 レイゼンと呼ばれた青年は、そうですね、と同意する。

皇宮(アクアパレス)が少し騒がしい。間違いないだろう」

「そのように見られますか」

「いかにせよ、私は久しぶりにカロルシアに会えるのは確実かな?」

 グランスは和やかに笑う。

「と言うより、会ってやっていただきたいという感じです」レイゼンも苦笑を返した。「大事な友人ですから」

「幾つだった」
「二十…もうすぐ五……になるはずです」

「もう、そんなになるか」
「はい。私の妹ユウキが彼女とはアカデミーで同期でした」

「長い付き合いだな。…お前とも」

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