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“Galactic ILLUSION” (銀河幻想) The ORPAHN Ⅲ
◆Lyric 001◆招待者の名は
007  /皇帝、立(いた)つ




 ――もし彼女を、誰かに準えるならば人々は口々に云う事だろう。

「第十二代皇帝エディッサ=ユーメ・ユーデロイトか」と。

 帝政初の女帝としてエディット・フレイム(エディッサ)は皇位に就いた。早くから帝王学を教授され半ば計画的になるべくしてなった皇帝と云う。

 その天才的な聡明さは誰の目にも明らかだったが、先走る頭脳に彼女の心は追いつけなかったらしい。何が彼女の精神を蝕んだのか、恋人の存在、内乱の発生、権力抗争、そして彼女のゆえ無き幽閉。

 息を引き取る前には、彼女の心はここになかった。

 そんな女帝に比べるのは場違いかもしれないが、人は自分の都合の良いようにイメージを作り上げるものである。時に異なり、時に(まこと)を。

 大衆がカリスマ的力を感じての評ならば、エディッサ帝も肯定するであろう。だが過去の英雄は現世に甦ることは無い。形を成さない期待と、前例からのイメージにズレを感じたことが、後の新しい女帝に《緋い大帝(グランド・カーブ)》と言う称号を贈ることとなった。


 “緋色”の由来は定かではない。ルイーザの言語録によるものとか、炎のような苛烈さを象徴したのだとか、または《血染めの大王(ブラッディ・グレート)》を聴こえよくしたと言う説もある。

しかしこれは《緋い大帝(グランド・カーブ)》以後に捏造されたものとして“後世”では理解されている。

 間も無く、グランスとレイゼンらが予測したとおりに、ルードニース帝は退位表明し、民生議会はこれを承認した。

 
 
 ――その日の中央行政都市キシュトワルは晴れだった。

もちろん気象コントロールをやっての話だが、よほどでない限りは天候をいじることはない。

式典の担当者はきっと完璧主義だったのだろう。見事なまでに晴天である。

 普段はルエラ星上空に浮かぶ、皇宮アクアパレスに在る皇帝は、真下の地上であるキシュトワル(シティ)に降り、式典の準備を整え、その日を大安吉日とばかりに形式的な世紀のショーをやってのける。

新しい皇帝は名も顔も、其の時まで表向きは一般に広報されない。儀式の流れの中で公開され、大衆は世紀のイベントにその顔と名を記憶に刻むのが慣例となっていた。

 帝政を代表する顔がヴェールの向こうでギャラクシアンにより決定され、一般に知らしめられずに進行されるのに、帝政の市民は抵抗感が無いらしい。

 むしろ神格化された向きもあり、違和感も無い。少なくとも一千年はそのようにして皇帝が選ばれ、「帝政共同体」としての二重の権力構造は受け入れられている。

 太祖ユーデリウスの以前よりある貴族王族諸侯の血筋も生き永らえており、特にそのような身分制度も当たり前の多様な世界だった。

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