その34.不幸に自分からダイブすることに使命を感じている君に疲れる。
「遊んであげるわ、まとめてきなさいよ!」
自分から大変な方に突っ込んでいくバカ一名。
何故態々二人まとめて来る様な言い方するかなこの子は……。
「黙れクズ女が、汚らわしい風紀の犬め」
「次は本気で殺るぜオラ」
そんな言い方するもんだから、二人の矛先は当然縁に向けられる。
縁は。
勝てるか……?
幾ら強くても、この二人を相手にして。
勝てるか?
縁の行動は、バカな行動だと思うけど。
結局は心配してしまう。
縁は強い。
だけど。
……もしもの可能性だってある。
誰も守らない彼女を守るのが僕だ。
それに、守られてばかりじゃカッコ悪いって!
僕は、縁を守るように立ちはだかっていた。
「な、何してんのよ……?」
縁の困惑した声が後ろから聞こえた。
ああ、そうさ。
折角縁が態々離れて助けてくれたのに、自分からまた怖い方に突っ込んだんだ。
僕は君から見たら唯の馬鹿かもしれないね。
でも、喧嘩中に僕を助けようとか考えてる君も十分馬鹿だって事は自覚しとけよバーカ。
「……へーじ?」
驚いた声を挙げる縁の声に僕は応えようとはしない。
でも、縁の言いたい事は解る。
縁だってそこまでは馬鹿じゃない。
この二人相手に僕が立ちはだかった所で勝率が挙がる筈が無いのだ。
寧ろ邪魔だろうし、僕自身が化け物二人と相対して怖くないわけじゃない。
っていうか死ぬほど怖い。
おーおー……男二人が思いっきり睨んでるよ。
そうさ、お前ら何かに勝てる気なんてしねーよ。
でもな、勝てる勝てないの問題じゃないんだよ。
僕の問題は守りたいか守りたくないかなんだよブォケ!
それに、僕は戦う為に前に出たわけじゃない。
守る為に出たけど、戦いたいわけじゃない。
僕の武器は『力』じゃ無い。
「退けよ、朝倉先輩」
「貧弱なゴミ、先に死にたいのか?」
二人の屈強な男達が僕に睨みを利かせる。
心の中では震えているものの、それを表情に出すつもりは無い。
寧ろ小馬鹿にした様な笑みを浮かべてみせる。
「ちょっと待てよ熱血馬鹿共」
僕の一言で、男達も、そして周りの野次馬たちも、縁さえも黙り込んだ。
それは何を言い出した? と言った様な不審な目で見るような沈黙だ。
「……貴様から死ぬか?」
薫君が僕に冷たい視線を向ける。
「落ちつけよ」
馬鹿にしたような言い方に薫君の表情があからさまにイラついた表情を見せる。
そんな表情等どうでもいいと言った具合に僕は続ける。
「今君らが熱くなって潰し合うのは構わないけど、3人で戦えば必ずしも2対1の関係になるし、一人を倒した所で残りの二人のどちらかが弱れば片方が得をするわけだ、それはつまり、絶対に有利になる人間が居るって事じゃないのか?」
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