小説家になろう
スノー・ボール

 灰色の雲から白い雪がゆっくりと降りてくる。
 すっかり白くなってしまった街を、私とジョージは並んで歩いている。
「雪だネー」
 ジョージがコートと帽子の隙間から彫りの深い顔を覗かせながら、まだまだ上達の余地がある日本語で呟いた。
「寒いね」
 私は彼の横顔を見ながら答えた。ジョージはまるで子供のように青い目を輝かせて周りを見回している。
「SnowFightしようヨ」
 突然ジョージは通りかかった小さな公園に入っていくと、足元の雪をかき集めて玉を作り始めた。
「全く子供なんだから」
 ため息をついて、私も公園の中に足を踏み入れる。以前の私なら人目を気にして、街中で雪合戦をしようなんてきっと思わなかった。
 しゃがんで足元の雪をかき集めて雪玉を作る。私はジョージと出会ったおかげで変わる事ができた。
 雪玉を両手に持って立ち上がると、私の顔にやや固めの雪玉がヒットした。
「アハハハ、遅いヨ」
 ジョージは笑いながら雪玉を投げつづける。私も手に持った雪玉をジョージに向かって投げる。
 大げさな動きで雪玉をかわし、笑いながら手に持った物を投げる。ジョージは外人という事で偏見を受けたりするけど、いつも楽しそうだ。
 そして周りの人も巻き込んでいく。引っ込み思案だった私を引っ張り、人目もはばからず雪合戦をさせるまでにしてしまった。
「Ouch!」
 ジョージの顔に雪玉が次々とヒットする。力ではかなわないけど、すばしっこさと体の小ささでは私の方が上だ。
 しばらくジョージに雪玉を命中させていると、一方的な展開に切れたのか、ジョージは叫び声を上げながら下にある雪を両手でいっぱいに抱えてこちらに突進してきた。
「うわっ」
 意表をつかれてよけきれずにぶつかる。二人雪まみれになりながら白い絨毯の上に倒れこんだ。
 倒れた私とジョージの頬と頬が触れ合っている。なんだかとても幸せな気持ちになる。
 ジョージが少し体を離して、私を上から見下ろした。この笑顔が私を変えたんだ。
「夜には愛のタマをぶつけ合おうヨ、ショーイチ」
「……そういう親父ギャグさえなければなあ」

 僕達二人にヒニンはいらない
 男と男さ


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