小説家になろう
大地の系譜
17

 昼食を終えてから約30分後

 梗汰達は、アズールに案内され王宮から少し離れたところある、術師館と言う巨大な建物の一画にある、精霊術師が居るという部屋に案内された。
 さっそくアズールがドアをノックし、

「失礼します」

 どうやら鍵は開いているようだ。
 梗汰はアズールの後に続くように入る。
 その開けられた扉の隙間から梗汰が顔を出す。
 部屋の中はとても広く、部屋の中にも他の部屋への扉がいくつかあった。
 その他にも個人デスクと思われるものが数台、豪華なソファーなど様々な調度品などが置かれていた。

「中は意外と広いんだな」
「そうですねー」

 梗汰が視線を落とすと下にはサイラの頭が見えた。

「アズールよ、誰も居ないんじゃないか?」

 あの話し合いが終わってから、アズールを呼ぶ時の”さん”と言う敬称がなくなっていた。
 梗汰の中では”知らない人”から”友達”と言う枠組みに組み込まれ、すっかり遠慮がなくなっていた。

「ふむ、不在なのでしょうかね?」
「どうする?他の所にいくのか?」

 もし不在ならこれからどうするか、アズールが答えを出そうとした時、

「ちょっと待ちなさい!今行くから!」

 声が聞こえた。
 どうやら女性のようだ。
 ガタガタと扉を急いで開けるような音が聞こえる。

「ふぅー、来るなら予め来るって言っておきなさいよ!急にこられるなんて迷惑だわ」

 扉を開けるなり、その女性は心底面倒だ、と言う風に言った。

 その女性は、見た感じとても大人びた容姿で、黒い髪は方まで掛かる程度まで伸ばされており、ストレートでクセの全く無いその髪には、時折天使の輪が見える、顔立ちは綺麗なのだが、その細く切れ長の目は、見る人によってはキツイ性格に見えてしまうだろう。
 ・・・と言うか話し方からしてそんな気がするぞこの人。

「すみませんね、なにぶん急だったもので」
「まあいいわ、用件を言いなさい」
「はい、精霊術について教えてほしいという方が居まして」

 そういってアズールは梗汰の方を見る。

「あ、オレは稲葉梗汰って言います、よろし」
「あなた、精霊術を教えてとかふざけているの?」

 梗汰の言葉は、その女性の声によって遮られた。
 急な問答に梗汰は固まってしまう。

「え・・・・・・と」
「精霊術は血によってしか使えない魔法なのに、話を聞いただけで使える訳ないじゃない。今名前も聞いたけれど、そんな苗字の精霊術師の家系知らないし、時間の無駄だわ。さあ帰りなさい」

 普通の人からすればもっともな意見だ。

「あー・・・・・・オレは、なんつーか渡り人でさ、この世界にきてから精霊術が使えるようになったんだ」

 梗汰は驚いたようなその女性の表情を確認すると、自身の言葉を証明するかのように術を発動した。

「おりゃ」



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