小説家になろう
赤狐蒼狼琴奏記
はじめてのとうし。

「なーあついー!」

「……おん」

俺はぐったりしながら麓に話しかけた。
麓も麓でぐったりしながら俺に答える。
暑いのだ。
何やら知らないが冷たい空気を出す奴が壊れたらしい。
――というか

「すまん、本当に」

麓が壊した。
呪術の復讐してたらミスってぶち当ててしまったらしい。
攻撃呪術の類だったようで、なんか一発でおしゃか。

「いや、俺に謝られてもどうしようもないわけで。
 どうするんよ……これ……」

「――時間回帰呪術使うしかない。
 でも、やり方が分からないわ」

アホや。

「じゃあどうするん?」

「我慢」

「やだ」

拒否する。
暑いものは暑い。
今は朝だからまだこれだけの暑さで済んでいる。
これがお前昼とかになってみろ。
死ぬぞ冗談抜きで。
本当に。
たまらんぞ。

「じゃあ、私が一回嫌だけど家に帰って呪文覚えて帰ってくるからそれまで待ってて」

「……おう」

はじめからその考えにどうして至らなかったのかと。
はじめからそういう風にはじめからはじめからはじめから。
ああもういいもう。

「とりあえず早くお願いします」

「ん。
 待ってて」

麓は手と手を合わせると一瞬にしてその場から消えた。
きらきらと丸い光が飛び交って、ゆっくりと消えてゆく。
暑い。
なんかすごいものを見た気がするけど暑い。

「うーあー涼しいのどこー!」

下を出してはぁはぁ息をしながら探し求める。
涼しいの……水!
でも、俺水怖い……。

「うー」

この際そんなことは言ってられないらしい。
頭がくらくらとしてきたのだ。
水……ん?
氷とかあったよな。
氷ってことは……冷蔵庫!
俺は獣の姿になって冷蔵庫の前に立った。
爪を立てて扉を開けて中身をかきだす。
邪魔だどけぇっ。
ここは俺が入るスペースなんだ。
たくさん入っていた野菜を全部外へぽいっとすると今度は俺はその中に潜りこんだ。
中の壁に体をぶつけて完璧に冷蔵庫に保存されるような形になる。
隙間が完璧に消え、中に外の明りが入ってこなくなると俺はようやくほっとした。
涼しい……。
どうして初めからこうしておかなかったのだろうか。
本当に……俺はバカだな。
でも、これを思いついたってことは逆に天才?
っしゃ。

「ふあー……」

眠くなってきた。
麓が帰ってくるまで寝る……。





「んぅ」

寒い。
俺は寒さで目を覚ました。
寒いぞ。
鼻の中が凍ったみたいに冷たい。
ちょっと……寒い。
うあう。
俺はあわてて外に出ようともがき始めた。
寒い、寒い寒い。
中の壁に体をぶつけて、その勢いで引出しをあけようとする。
だが、開かない。
強力な磁石みたいなやつついてるんだよ、たしか!
うああ。
寒い。
寒い、寒い。
俺、こんなとこで死ぬの嫌だ……。

「ろく……ろくっ……」


     

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