小説家になろう
赤狐蒼狼琴奏記
はじめてのりょこう その7

「あーもう!
 ウルバル、帰るぞ!!」

「え、ええっ……」

「いいから!
 もういいやこんなとこ帰るわよもう」

「は、はぁ」

何やらご機嫌が斜めな麓はいらいらと頭の髪の毛をくるくるさせて荷物をまとめる。
なんだったんだ今回の旅行は結局。
俺は大事なもの見つけれれてねぇし。
麓は何か大事なもの見つけたのかなぁ。

「はい、目瞑る。
 もう家帰るよ。
 歩かない呪術で帰る」

「はぁ」

俺が目を瞑るのを待たずに麓は呪術を唱え始める。
なんか荒れてるな……。
しばらくそっとしておくが吉かも知れない。
行きとは違う荒々しさで帰りも快適とは言い難い帰り道だった。
狭い道を潜り抜けたような窮屈な感じが終わるとすぐに自分たちの家の玄関だった。

「ついたー」

「ほいよい」

そのまま麓は靴を脱ぎ捨てると居間まで行きどっかりと倒れ込む。
すやすやと寝息を立ててすぐに眠りに落ちてしまった。

「えー……はや……」

どうせ片付けは俺なんだろうなぁ、と思いながら麓の旅行鞄を持ち上げる。
いつもこれ麓がきれいにしてたからどうすればいいのかわからない。

「なんだかんだで俺もこいつ頼りにしてたんだよなぁ……」

雑用とか全部俺に任せる癖に。
でもこの家も、食べ物も全部麓がいるからできたことなんだよな。
俺の命を救ってくれたのもこいつだし。

「はぁ……」

ありがとう、って今言っても通じるかな。
いまさらって感じもするけどさ……。
俺はぐっすり眠っている麓をちらりと見た。
こうやって寝ている分にはかわいいのになぁ。
起きたら起きたでうるせーし。
でもなんだかんだでありがたい狐なんだよなぁ。

「――ありがと」

俺は小さく麓の耳元で呟くと居間に倒れ込んだ。
そのまま目を瞑り眠りにつこうとする。
なんかどっと疲れが来た。
たまらん。
うとうとと眠りの世界に片足を突っ込んだ時なんか生暖かい息が頬にかかってきた。
何かいる。
ぞっとして顔を動かそうとしたが何かに縛られたように動かない。

「……ウルバル。
 私、お前のこときちんとしてるつもりだった。
 でも秋生に言われて少し傷ついたわ。
 じゃけん、私もお前にお礼言わなきゃね。
 ……ありがとウルバル」

そういうとずりずりっと布を引きずる音は遠くへ行ってぱたりと止む。
もしかしてあれか。
聞かれてたパターンか。
眠ってたと思ってたのに。
くっそ……恥ずかし。
顔が真っ赤になるのを感じる。
ぐう死ぬ。

「あれか。
 手に入れた大事なものって絆とかそういう落ちか」

ちいさく呟いて俺はありがちだなーと思いながら眠りに落ちた。





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あふたーすとーりー

「なんであんたがここにいるの!?」

「別にいいじゃない。
 遊びに来ただけだから」


     

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