小説家になろう
赤狐蒼狼琴奏記
はじめてのせんたくき。

「おーい」

「おん?」

俺は手に持ったしゃもじを持って麓に話しかける。
麓は洗濯物を洗濯板に押し付けこする手を休めて俺の方を向いた。
泡が鼻の頭についている。
俺は麓の鼻を拭ってやると

「そろそろご飯にするから帰ってこいや」

といった。

「んー」

麓は冷たそうに手をさすりながら家の中に帰ってくる。
今の時期は寒いもんなぁ。
俺は麓に手袋もらったけど……。
しかも防水。
俺も麓になんかあげようかな。

「んにゃ、かまわん。
 大丈夫」

「でもなぁ」

麓は心を読むんだった忘れてた。
構わんって言われてもかまうんだよな、俺が。
気になるしなぁ。
かわいそうだし。

「なんか勝手に洗ってくれたりするやつないかな」

「んー……。
 わからん」

わからんよなぁ。
俺も分からん。

「とりあえずご飯食べようごはん」

「ん」

食べながら話せば何とかなるだろうし。
うん。





          ※





「――で、私のところに相談しに来たってことかしら?」

「そうなんですよ」

次の日。
麓が出かけたときに俺も出かけることにした。
行先は秋生のところ。
こいつなら何かしら教えてくれるかもしれんし。

「ふーむ……。
 代わりに洗ってもらえるものでしょう?」

「はい」

秋生はふむ、と考え込むとごそごそと後ろの棚を探り始めた。
雑誌が中には山積みにされている。

「これなんてどう?」

そういって秋生が出したのは一枚の最近の雑誌。
電気屋さんの安売りセールのお知らせだった。

「せんた……き?」

「そそ。
 洗濯機って言うやつよー?
 かってに洗ってくれるみたい」

「おお、これいいですね!
 これ麓にあげたい!」

「じゃあこれ私が出すから。
 家に持って帰るのも大変でしょうし……ね?
 送って行ってあげる」

「本当ですか!?」

めっちゃいい人。
やばい。
人じゃなかった狸。
めっちゃいい狸。

「ただし」

「ただし?」

んに?
なんか条件つけられるのか?

「今度遊びに行ったときごはん作って?」

「……はいよ」

それぐらいなら余裕だし。
作ってあげます、はい。

「じゃあ契約成立ね」





          ※





「へ?
 これどしたん、ウルバル」

「ん、ふふっ。
 秘密、これ使えよ麓、次から」

「……おん。
 ありがと」

「この前手袋くれただろ?
 俺は呪術も何も使えないから……。
 こんなんですまんね」

麓は目の前に現れた洗濯機をぽんぽんと叩いて不思議そうに撫でる。
使い方も分からんわな。

「使い方も学んできたから教えたげる。
 まずはこれをだな……」





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