小説家になろう
赤狐蒼狼琴奏記
はじめてのめだる。

「ろくーろくー」

「おん?」

「こんなん見つけたー!」

そういって俺は手に持った丸いものを麓に渡した。
これは庭で日向ぼっこをしているときに偶然俺が見つけたものだ。
なんか土の中に埋まっていたんだよ、これ。
川まで行って綺麗にごしごしと洗って泥を落として持って帰ってきた。
よく分からないものは麓に聞くに限るのだ。

「ふん……?
 なんこれ」

麓は俺の手の平にのった丸いものを指でつまむ。
ぴかっと銀色の光が太陽光を跳ね返して光っている。
何かよく分からない模様も刻まれている。
すごく、きれいだ。

「なんかよく分からんけどお金によく似とるね。
 でも、こんなん見たことない……」

お金は俺も知ってるぞ。
人間が物を取引するときに使用する奴だ。
物と物とで交換すればいいと思うのにバカなことするなって思う。
だって、お金は食べれないんだぞ?
食べれないのと食べれるのを交換してどうするんだって。
まったく、意味の分からないことをするな。

「お金じゃなかったら何なん?」

「ん、わからん……。
 あ、ここに文字書いてあるわ。
 えっと……?」

文字?
ああ、その変な模様のこと。
なるほど言われてみれば確かに文字に見える。
でも、俺には読めない。
麓が読み上げるまで待機する。

「えー……。
 べ……るか……げーむ……せんたー……。
 だと思う」

べるかげーむせんたー?
よく分からない単語がだだっと頭の中で整列した。
まだまだ自分は勉強不足だと思い知らされる。

「で、結局何に使うもんなの?」

「分からん」

おい。

「なんで私が全部知ってるって思うんかって。
 知らんもんは知らんけん」

「…………」

でも、何に使うか知りたい。
知りたい。
知りたい。

「モノ買えるんじゃないん?」

「かな」

「ちょっと行ってみ。
 呪術で近くのところまで送って行っちゃるけん」

「おう」





          ※





「おばさん、これください」

ずっと前、旅行をした時と同じ格好で商店街へとやって来た俺はお肉の束を手に中にいるおばさんへと話しかけていた。

「はい、これを……ってん?
 お兄さん、お兄さん。
 これなんや?」

「え、使えないんですか?」

「使えんわこんなのー。
 もーアホやなぁ」

麓ぅぅぅぅううU!!!!!!!
くっそ恥ずかしい。
やばい死ぬ。

「これ以外にお金もっとれへんの?」

「……はい」

「あちぁー。
 まーまた今度来てな。
 これはとりあえずあずかっとくから。
 おおきに」

使えないのか……。
じゃあ何にもならんやんか。
分からん。

「あの、おばさん。 
 教えてください。
 コレ何に使うんですかね?」

おばさんは俺が出したお肉を片づけながら不思議な目で見てきた。
こりゃ愉快、と顔が笑っている。

     

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