第三章 調査
「どこの出身だった…出身なの?」
俺の正面に座っている秋留が優しく問いかけてきた。
若干言葉の表現に迷ったようだが、何も無かったかのようにすました顔をしている。
ここはガイア教会本部魔術研究所の会議室だ。俺達の情報整理のために、美冬さんが場所を提供してくれた。
(バーム大陸にある鬱蒼とした森深く……僕は木々の隙間から力強く差し込む光を浴びて気ままに暮らしていたんだゲロ……)
「バーム大陸の森の中だってさ」
(こらっ! ブレイブ! 色々省略するなゲロッ!)
「だぁ〜! 頭の中で五月蝿いなっ! ちゃんと重要な所は言っただろ?」
頭を掻きむしりながら叫ぶ。
「それにゲロゲロ五月蝿いぞ! 普通に喋れないのか!」
(むぅっ! 失礼な! この光の蛙ラムト様のアイデンティティーを馬鹿にするかっ! ゲロ)
とんだ奴が俺の中に入ってしまったもんだ。
もっと大人しい霊獣が俺の中に息づくならまだしも……光の蛙? 使えない能力しか無さそうな響きだぞ……。
ちなみに傍から見たら俺は一人で何をやっているんだ? と見えるに違いない。
俺の中にラムトという蛙の霊獣……いや、ただの蛙の因子が組み込まれてしまったのだ。
それがどんな仕組みかは全く不明なのだが、俺の頭の中で意識を持つ結果となってしまった。お陰で俺は突然頭を抱えて叫びだすような変人扱いをされてしまう可能性が大きい。
「ブレイブよぉ、話が進まないからラムトの言葉をそのまま伝えてくれるか? ゲロゲロ付きで?」
カリューが笑いを堪えながら指摘してきた。
くっそ〜!
今まで散々カリューの事を馬鹿にしていた手前、文句を言う事も出来ない。
しかも俺の頭の中で喋っているラムトの声は他のメンバーには聞こえてないため、俺の独り言に聞こえるはずだ。それをこのカリューはまるでラムトの声まで聞こえているかのように内容を想像して馬鹿にしてやがる!
こんな時だけ要領の良い事しやがってぇー!
「で、やっぱり赤い制服を着た人たちに攫われたの?」
秋留は何事も無かったかのように俺、というか俺の中のラムトに質問しているようだが、その顔には笑いを堪えているのが丸分かりな感じで眉毛がピクピクと振動している。
(そうだ、必死に光って抵抗したんだが、全くひるみやしねぇんだ……ゲロ)
……こいつ、実は無理矢理語尾にゲロって付けてやがるな?
頼むから俺の中だけしか存在しない奴が、アイデンティティーを気にしないでくれ。
「ブレイブ、泣いてなくて良いから、通訳お願い」
「赤い制服の奴らに攫われたんだとよ。身体を光らせて対抗したけど、全く役に立たなかったらしい」
俺は泣き真似を止めて真面目に秋留に答えた。
「なるほどゲロ」
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